『構造計算書で学ぶ鉄骨構造』を読んで
上野嘉久著『構造計算書で学ぶ鉄骨構造』(学芸出版社,2009年)を読んだ.
良かった点
- 構造計算書とその説明が並行して進むため,独学で学習できる.
- 構造計算書の対象物として,事務所と休憩所の2種類が挙げられている.これらがそれぞれラーメン構造とブレース構造になっており,それぞれの構造について,無駄なく学ぶことができる.
- D値法についてはあまり解説している書物がないが,本書には比較的詳しく述べられている.
残念だった点
書籍のあまり性質上やむを得ないことであるが,理論的なことまでは踏み込んでいない.上野嘉久著『実務から見た鉄骨構造設計』や松本慎也著『よくわかる構造力学の基本』などを併読する必要があると思われる.
○感想 私は大学で機械工学を専攻したが,その間,構造力学についてあまり詳しく学ぶ機会がなかった.具体的に言うと,建築で常識となっているブレース構造とラーメン構造の違いなど,大学の講義で出てきた記憶がない.しかし,私の携わっている分野では,機械と合わせて架台の設計をする必要があり,構造力学が必要になってくる.
建築の分野を独学で勉強する人だけでなく,私のようにメインで機械をやっていて,サブ的な要素として構造力学が必要になる者にとって,非常に有用な書籍だと感じた.