耐摩耗鋳鋼の種類
私のグループで利用している仕入先では主に4種類の耐摩耗鋳鋼を製造している.私は耐摩耗鋳鋼の製造に携わっているわけではないので詳細については専門外であるが,あくまでも使用する側の人間として,それぞれの違いについてまとめてみたい
名称 | 説明 | 硬度の参考値(Hs) |
---|---|---|
高マンガン鋼 | マンガンを多く含む鋼 | 約30 |
低合金鋼 | 合金の少ない鋼.焼入れによって硬度を出す | 60~70 |
高クロム鋼 | クロムを多く含む鋼 | 70~90 |
多合金鋼 | 合金の多い鋼.とくにレアメタルを多く含む鋼.レアメタルが入手困難のため実際にはほとんど製造していない | 80~ |
基本的には硬いものほど割れやすい.衝撃荷重が加わる部分に部分に高クロム鋼以上の硬度の材料を使用する際には,注意を要する.ただ,割れやすいと言っても,使用中に真っ二つに分裂するように破壊することはほとんどなく,角がかけたりする現象が起こりえるという風に理解するのがより現実に近いと思う.
なお,ハイマンガン鋼の溶接性は悪いが溶接は不可能ではない.SUS系の溶接棒(309)で下処理してから通常の溶接棒で溶接すると多少はよくなる(ニッケルの濃度がハイマンガンと近いため).また,ツルヤ工場製SMC-16という溶接棒を使用したこともあったが,とくに問題はなかった.